歯を失ってしまった部分には、これまでブリッジや着脱式の義歯が施されてきましたが、これらは支台歯(ブリッジを支える歯)を削るとか鈎歯(義歯を引っ掛ける歯)に咬合力の負担をかけること等で歯牙破折や歯周病を惹き起こし歯の寿命を短くしてしまういわゆる副作用の強い治療方法
でした。1952年、スウェーデンの医師ブロネマルクはチタン合金が骨と結合することを発見しインプラントが臨床応用されるようになりました。インプラントは安全か否かの議論はもう昔の話で補綴処置として無くてはならない治療技術となっています。
咬合圧を顎骨で支えるため天然の歯牙と全く同様に噛め、まさしく人工臓器と呼べるものです。従来の歯科医術とは時代を隔するものです。
しかし巷では「インプラントは感染や麻痺を引き起こし危険だ」との噂も囁かれているようですが、一部の歯科医師がしっかりした術式を習得せず安易におこなっているからだと思います。正則治療をおこなえば成功率 95% の確立された治療術式なのです。たとえ失敗しても再治療で回復できます。大きな失敗の症例では骨の喪失を伴うのが一般的ですが骨(あるいは代替骨)の移植で対応できます。失敗症例の主な原因は
感染、術式の誤り、診断の不備、術後の管理等が挙げられます。
当医院では専用の手術室を備え、器具は全て滅菌パックにて衛生管理を徹底しています。
滅菌パック入りの器具
インプラントなどの外科専用室
外科室は完全個室です
的確な診断を行うため当医院内に設置された新型の歯科用CTにて全症例CTスキャン(断層)撮影をし、それを基にまず骨移植が必要かそうでないかを決定します。それからコンピューターにてインプラントのサイズや植立方向をシミュレーションをし最終診断をしていきます。断層撮影無しのインプラント植立は羅針盤なしに航海するようなものです。
CTデータをパソコンに表示。安全な手術計画を
立案します
インプラント埋入を立体的にシュミレーション
インプラントにおいて一番悩むのは骨量です。抜歯された歯槽骨は吸収されるものですが、歯周病で歯を喪失した場合この傾向は著しくなります。一般的にスクリュータイプのインプラントのサイズは最低でも直径
3,5〜3,7mm、
長さ8〜10mm は必要ですがこれらが植立される為には骨幅は5〜6mm、 高さに関しては下顎で12mm, 上顎で
8〜10mm必要になります。1ミリ以下の単位でインプラントの直径や長さを選択しなくてはならないのですが残念ながら現在そこまでの単位刻みで直径や長さをバリエーション豊かに取りそろえているインプラント製造メーカーはありません。そこで当医院では数社のインプラントを常備し適切な大きさのインプラントを埋入できる体制を整えております。
インプラントに必要な骨が不足している場合は骨造成をしなければなりません。抜歯後数年経ったインプラント希望者の多くのケースにおいて骨量が充分ではありません。骨量が少ないのにインプラントを植立すると負担過重になり数年後に骨が吸収され脱落してしまいます。骨量のみならず骨質も考慮されなければなりません。骨質評価の目安として、
ハンスフィールド値が用いられますが最低でも 350 は必要です。そのほか歯科疾患以外の全身評価も必要になってきます。
インプラントの周りの骨密度も測定できます
骨移植に使用する超音波切削装置
従来のドリルと異なり、超音波の
振動により切開するため、骨に
対し最小限の侵襲で、正確な
切削を行えます。
また骨にしか反応しないため、
粘膜や神経など軟組織を傷つけ
ません。
体に優しい骨移植を可能にします。
欠損した歯を補うための治療法の比較
|
メリット |
デメリット |
費用 |
■入れ歯
|
・多数歯欠損に有効
・健康な歯を削る必要がない
|
・装着時の違和感
・固定のため歯や骨に負担がかかる |
保険診療と自費診療で異なる |
■ブリッジ
|
・固定式のため違和感が少ない
・材質によって審美的な修復が可能 |
・固定する両隣の歯を大きく
削らなければならない
・支えの歯に大きな負担がかかり、
いずれ喪失する危険が増す |
保険診療と自費診療で異なる |
■インプラント
|
・天然の歯に近い感覚
・噛む力を80%(天然歯の)まで
回復できる |
・インプラントを顎の骨へ埋め込む
手術、さらに骨量が充分でない場合
は別に外科的な手術が必要
|
保険適用外なので費用がかかる |
|